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逆風の中志願者を3倍増 老舗女子大の新たなチャレンジ【独自】




加速する人口減少の影響で、女子大の募集停止や共学化のニュースが相次いでいる。


新生児出生数の減少には歯止めがかかる気配がない。現在、政府による「異次元の少子化対策」が進められてはいるが、厚生労働省が2月末に発表した人口動態統計速報では、2023年の出生数は75万8千人余りで、8年連続で減少が続いている。


2025年度入試が終わった現時点(2024年春)での18歳人口は約109万人。2040年代前半までに30万人以上もの受験適齢期の人口が減少することになる。 


受験人口の減少の影響を最も大きく受けているのが女子大である。


首都圏に次いで女子大の設置数が多い兵庫県を見ると、ここ数年で、4件もの募集停止・共学化が公表されている。


・神戸親和女子大学 → 2023年4月から共学化(新名称:神戸親和大学) 

・神戸海星女子学院大学 → 2024年以降、募集停止 

・神戸松蔭女子学院大学 → 2025年4月から共学化(新名称:神戸松蔭大学) 

・園田学園女子大学 → 2025年4月から2028年にかけて段階的な共学化 


他方、逆風でも志願者を増やしている女子大もある。一般入試志願者を3倍以上に増やした神戸女学院大学だ。


同大は、2024年4月には国際学部と心理学部を開設し、2024年度入試制度改革と併せて、一般入試前期の志願者数を対前年比333%とし、一気に攻勢に転じた。


さらに、学園創立150周年に当たる2025年には、新たに理系の「生命環境学部」を設置する構想もある(※名称・内容などは予定のため、変更される場合がある)。


2月20日には、新設となる「生命環境学部」のメディア向け取材会が行われた。そこでの学部概要の説明によると、新学部は、現在の「人間科学部・バイオサイエンス学科」がベースとなっている。学生は、データサイエンスを学んだうえで、建築や情報科学などの新たな分野を含む4つの領域(環境科学、生命科学、情報科学、サイエンスコミュニケーション)から自由に学ぶことができる。


新学部では、目下社会で求められているスキルを身につけることが目指されるが、リベラルアーツ教育も重視されている。文理の垣根を超えて、社会のWell Beingに貢献する人間として生きるための学問を広く学んでほしいというのが、大学側のねらいのようだ。


2月20日新学部取材会資料より
2月20日新学部取材会資料より

理系の学部というと「数学がちょっと」と敬遠する向きも考えられるが、文系型(数学なし)で受験することも可能だ。文系型で入学した場合は、入学後に数学をはじめ理系の基礎となる科目を学習できるカリキュラムを用意している。


同大学の位置する岡田山キャンパスは、市街地にありながら緑豊かな里山をそのまま残した自然と共存する。高名な建築家ヴォーリズの手による12棟もの建造物(国の重要文化財)を有し、自然美と人工美が調和した類まれな環境となっている。学生にとっては、この環境がまさに「生きた教材」とのこと。大学教育はデータサイエンス花盛りだが、ただ「時流に乗っただけ」ではない本来的な学びの範例を見ることができる。



 

<記事>


満渕 匡彦(まぶち まさひこ):KEIアドバンス コンサルタント

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